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第55話 全ては飼い主が作った

2011年06月15日 19:01

アルファシンドローム、権勢症候群とも言われる、一昔前に盛んに言われた「症候群」だが、そんなものは学術的には存在しないというのが現在の定説になっている。しかし日本のドックトレーナーの多くが今でもアルファシンドローム存在説を信じ、現実にそういう危険な犬がたくさん居ると口を揃え、さらにはそのアルファ部分をやっつければ、犬は素晴らしく従順になると主張する。「学術論文などへのカッパ」というのは、それらが、匿名の与太話投稿と同列に扱われるネットの世界ではありがちな事だが、リアルな現場の人間の意見と、学術論文がこれほど対立する例は珍しい。


これにはこの問題特有の特殊な事情がある。なんといっても相手は犬だ。一匹一匹違う。それらをひとつの定義にまとめるのはそもそも難しい。つまり目の前で起こっている事が学説とピッタリ合わなければ、その時その人にとってその学説は意味をなさない。さらにそれに個人的感情、思い込みも影響してくる。犬を、下等動物と見るか、高い知能を持つ立派な動物と見るかで、両者の見方、考え方は、大きく異なってくる。これに宗教観も関わってくる。また、国によっては、犬を食用にしていた歴史も関わってくるかもしれない。世界のほとんどが犬食の歴史を持つが、アジア諸国は特に盛んだった。宣教師ルイス・フロイスは『日欧文化比較』で、「日本人は牛は食べないが犬は喜んで食べる。見事に料理する」と記している。今どき犬を食べたいと思う人はいないだろうが、毎年大量に殺処分される現実を見ると、どこかに犬を軽んじる風習が残っているのか、と思えてくる。



話を戻そう。私の意見では、アルファ症候群などない。犬が人間と犬を区別せず、人間の上になろうとする事などありえない。そう見えるのは、ようするに飼い主が調教を失敗したに過ぎない。犬は馬と違ってとても単純だ。デジタル的といってよい。例えば鼻をつまむ。これは有益なスキンシップだが、しかし不注意にやれば危険な行為だ。ある日、何かの拍子で、反射的に咬んでしまったとする。正面から来る異物から急所を守る自然な条件反射だが、これで飼い主は、以後厳しい立場になる。咬んだら防御できたと記憶されるからだ(この場合、興奮が助長されるので、噛まれたとき悲鳴でも怒声でも甲高い声を出すのはまずい)。厳しい言い方だが、ある意味一度そうなったらもう終わり。一生その記憶は犬の脳に残る。飼い主が触れようとして咬まれるのは、それほど深刻な事態だ。甘咬みとはわけが違う。


万一そうなったら、私はなら「あ」という言葉をあげ、その場で犬を静かに脅迫する。「う~~~」と低いうなり声を上げて威嚇し、しばらくしてから威厳を持って犬の前に立ち、「おすわり」「ふせ」をさせ、ばっちりできれば「グー」と言い、その日はそれ以後何もせず静かに終える。ただし犬が即座に「パパごめんなさい!」と、ひっくり返って腹を出せば、それは「ワタチパパに服従します!」のサインだから、これら脅迫の必要は無い。その場でたっぷり鼻をつかんで楽しく遊び、良いイメージ、良い記憶を犬の脳に送り込む。



鼻をつまむなら、不注意につかもうとして咬まれるという最悪の事態をまねかないよう非常に慎重に、例えば、犬を油断させるような声をかけながら、胸あたりから耳後ろを回って、まずはさりげなくソフトに鼻をつまむ。さすって気持ち良くさせながら、等の工夫が必要だ。たかが「鼻つかみ遊び」の例に過ぎないのだが、こういう些細な失敗でも、積み重なっていくと、凶暴なモンスターを育てる事になる。私はイシュの時、いろいろな困ったワンコたちに出会った。最悪命にかかわるような事件にも出くわした。私は、チビッ子では、特に大型犬との接触は避けた。噛み殺されてからでは遅い。たいていの野生動物、熊や野良猫は、犬が吼えればトラブルを避けるため逃げる。しかし調教に失敗している犬は違う。こちらに襲いかかって来るのだ。(参照:ドベがトイプーを襲い噛み殺した事件


彼らには、牙を剥き襲い掛かり、何かの利益を得た、そういう経験がある。その利益が、本能を満足させる快感なのか、何かは分からないが、そういう経験がある犬に、学術的裏付けもない無意味なレッテルを貼ることは、問題の本質を曇らせるだけだろう。私は今でも愛猫を噛み殺した犬が憎い(第10話)。しかしあの犬に罪はあるのだろうか?別の人に飼われていたなら。 長い年月をかけ、人間に養われながら進化してきた犬たち。犬の幸せの為に、調教技術がますます進化する事を祈りたい。


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パパの足にじゃれ付くチビッ子。 思い出すと足がムズムズしてくる。今となっては懐かしく楽しい思い出。

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別のアングルでは凶暴そうに見える。犬は狼だ獣だという人達には、これはアルファ症候群だ!という事になる?

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こら~よくも咬んだな~おらおら♪と腹を向けさせたところ。チビッ子もけっこう喜んでいる。これでもアルファ?

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「ぐふふ♪パパ~」と、イタズラっぽい顔で迫ってくるチビッ子。私が昼寝から目覚めるとよくこういう表情で現れた。

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「ねえパパ、おうちに入っていい?」という表情のチビッ子。信頼感あふれる素晴らしいアイコンタクト

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「まて」のコマンドを出したところ。忠実にマテの命令を守っている。今か今かと「よし」を待っている。

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「よし」でジャーンプ。これぐらいの頃から、一っ飛びでリビングに来れるようになった。


美しい短調K.491 演奏はクララハスキルと思うが不明 持っているレコードとはカデンツァが違う


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