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第50話 レッテル貼り

2011年05月24日 23:44

今日買い物に行ったら、大型商業施設内にあるペットショップに、何故かふらふらと寄ってしまった。店内には売れ残りと思われるミニチュアダックスが、ゲージに出されていた。牙を剥きけたたましく吼えている。あまりに吼えるので、ある種のレッテルを貼られ、買い手が付かないのだという。どれどれと一通りの儀式を踏んで接したところ、とても私になついた。表情のある大きな目をした可愛い子で、愛想を振り撒いて、非常に利発だった。その様子を見ていたショップの女の子は驚き、買ってくれるよう私に懇願した。


聞けば本当に売れ残ったら自分が引き取るつもりだったという。しかし家には既にもう4匹も居て、5匹目というのは、それは相当大変だそうな。利発なミニちゃんに、「オイラにもらって欲しいの?」と聞くと、「うんうん」という。 う~~ん、どうしようか、と少し悩む。そうこうしているうちに、別の客が来て店員さんはそちらへ。それで私は、「ミニちゃんまたね」と、悲しそうな顔をするこの子に心を痛めつつも、そこを離れた。おそらく、あの客が来ず、あのままあと数分、あの可愛い店員さんに迫られていたら、間違いなくお持ち帰りになっていただろう。運命の分かれ道だ。今後ミニちゃんの運命がどうなるか分からないが、幸運を祈る。


世の中の事は運命がいろいろ重なる。ビジネスもそうだが、政治には特にそれが目に付く。些細なきっかけで、誰もが想像しなかった力が働き、時には途方もない悲劇を生んだりする。本当にくだらないチンピラ議員Mが惹き起こしたアメリカの集団ヒステリー赤狩り(レッテル貼りと人格攻撃)。それを彷彿させる情景をこの一年見せ続けられ、私はドイツにでも疎開したい気持ちでいっぱいだったが、今日は、酷いレッテルを貼られていたミニちゃんを、置き去りにしてきた罪滅ぼしに、酒の助けを借りつつ、その事についてふれてみよう。(以下政治の話オンリー。ワンコの話ナシ)
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「ワタチをもらってください」と、こんな感じだった今日の子  悪循環が生んだ間違ったレッテルが可哀想だった



私は政治を注意深く見るようになって、もう40年以上になる。課外授業か何かの発表会の為に、日経・朝日・毎日・中日(東京)・読売・産経など新聞各紙を読み比べ、その違いに驚いた事がきっかけだ。どれが真実なのか興味を持ち、以来自分で考え探るようになった。この40年、新聞をとことん読んだ。新聞には恵まれた環境だったし、昔も今も家の近くに図書館があったおかげで、家にはない新聞だけでなく、様々な媒体に書かれた文献も読むこともできた。当然その中には歴史に関するものが多い。

公的権力を持つということが如何に大きいことか、私は自治会の副会長になった時、身をもって体験した。個人で役所や警察と折衝するのと、その肩書きでするのとでは、大袈裟かもしれないが、天と地ほどの違いがあった。また、一任されたある予算を執行する時などは、多くの業者から、随分謙る態度をされたものだ。一瞬自分が偉くなったような、特別な人間になったような、そんな勘違いをさせられた。たかがこれぐらいの役職でこうなのだから、与党や政府の役職になった者、高級官僚、公益法人へ天下った元官僚などは、もうタイヘンな精神状態だろう。その勘違い振りは、天をも焦がすほどだったかもしれない。




日本では本当の意味での政権交代が今まで無く、ずっと彼らは「偉い人」だったわけだが、初めて本格的な政権交代が起き、これら多くの人たちが権力を失った。「偉い人」から平民になったわけだ。なおも権力を握り続けているお偉い官僚たちも、ボスが、半世紀に及ぶ付き合いでナアナアの、あるいは裏で操つる事もできた自民党から、操れない民主党に代わり、昨日まで何の権力もなかったこの「平民」たちに、謙らなければならない屈辱を味わうことになる。 長年日本を支配してきた現代日本の貴族様たち、じゃなくて特権階級の皆様たち、じゃなくて旧与党グループは、既得権も利権も大幅に失った。 さぞ怒り心頭だろう。彼らから見れば民主党は、親や祖父の代から伝わる自分たちの権力を奪った盗人のようなものだ。カタキも同然。日が経つにつれ、はらわたが煮えくり返る。彼らの民主党への怨み、権力奪還の執念は、我々には想像もできないほど強いのだろう。菅総理への激しいバッシングを見ていると、それが分かる。 日本の国会では、ほとんど見られなかった首相個人への組織的かつ本格的な誹謗中傷、執拗な人格攻撃が、いま国会であふれ返っている。


チンピラヤクザの集団じゃあるまいし、誠に醜いそういう恥知らずな行為を、半世紀にもわたって日本を導いてきた自民党が、言論の府で国権の最高機関である国会で行うとは、何かの伝染病に掛かって狂ったとしか思えない、と長年彼らを支持してきた識者が嘆く。私も同感だ。 自民党は、その権力で、民放各社の独占的利益に貢献してきた。民放各社はその「ありがたい御恩」を忘れていないだろう。ましてやいま民主党政権は風前の灯火状態。彼らの権力を恐れる必要は無いし逆に自民党に媚びておいた方が得策だ。自民党は、そんな民放各社や、自民党万歳の右派新聞・産経や読売など、盟友のマスコミを総動員して、徹底的に菅政権の誹謗中傷を実施した。おかげで発足してまだ1年も経っていない政権に、無能だの最悪だのというレッテルを貼ることに成功した。 善意あるいは性善説を前提につくられている民主主義のシステムが、こういう暴力に対しいかに脆弱か、あらためて見せ付けられた思いだ。


彼らは、国民の大半を洗脳できたと判断したのか。だから国会で国会議員として最もやってはいけないそういう行為を平然とできるのか。「大衆は馬鹿。いくらでも扇動できる。意のままだ。」とドイツのある政治家は嘯いた。当時ドイツは、それぞれが提灯メディアを総動員し、些細な事をほじくりだしては揚げ足を取り、「人災だ失政だ」と吼え、相手政治家を徹底的に人格攻撃するという行為が横行していた。やられたらやり返すでどんどん加熱、呼応するように国民は既存の政治家にどんどん幻滅し、やがて映画や小説に登場するような、かっこいい英雄を渇望するようになった。結局人格攻撃合戦は、大衆扇動に長けた独裁者が登場して相手を虐殺するまで続いた。




歴史は警告している。こういうのは禁断の果実なのだ。自民党は一線を越えてしまった。 ルックスの良さと軍人とは思えない柔らかな物腰もあって、イラク派遣でマスコミに持ち上げられ、一躍自民党の人気議員になった「髭の隊長さん」。先日の予算委員会での彼の質疑は、目をそらしたくなる最近の自民党の低俗な質疑の中でも、特に酷かった。最初から最後まで総理を無能呼ばわりする人格攻撃に終始し、その内容も酷い。冒頭から菅総理は国土を守れない無能者だとレッテルを貼り、明日被災地をお見舞いに来る韓国大統領に対し、明日中に韓国議員が某島を訪問するかどうか問いただし、厳重に抗議しろと迫った。国際儀礼もわきまえず、もしそんなことをすれば、日本がどれほど恥をかき、評価を下げ、国益を損ねるか、この男はそんな常識もないのか。


そもそも他国の国会議員の移動の自由を制約する権利などあるはずがない。「わが国は日本の国会議員の人権は認めない(移動の自由を認めない)、パレスチナ政府が認めようが訪問する事は許さない」、などと友好親善のためにイスラエルを訪問した日本の元首に対しイスラエルがそう迫るのとほとんど変わらない。 まさかと思うが元隊長議員のせいで政府は韓国大統領にそう迫ったのだろうか? 韓国大統領は民主主義の国の大統領だから、議員の旅行の自由を奪えない。もし日本からそう迫れらたのなら、友好親善のために日本を訪れたのに、「厳重に」領土問題を言われ、抗議され、「議員の自由を奪え」と非民主的な要求までされ、さぞ困惑した事だろう。だが菅総理に対する韓国側の表情を見ると、極めて友好的だった。総理は極右議員の脅しに屈することなく、大人の対応を取ったのだろう。(追記・25日の報道によれば、それに腹を立てた自民党議員が、説明に来た事務方に、罵声を浴びせコップの水をかける等の暴力を振るったという)




質疑の話に戻す。元隊長の暴走はさらに続いた。彼は、まだ科学的検証も終わっていない、すなわち事実関係もはっきりしていない現在進行形の事故であるにもかかわらず、総理の対応について勝手に結論を作り上げ、後出しジャンケン的な卑劣な手口で、こうすれば防げたはずだと強弁し、総理の対応は大失敗だったと宣伝。「無能な総理のせいで起きた人災だ!」と大声でわめき、さらには、この原発災害の原因は総理のパフォーマンスすなわち総理の私利私欲のせいだと、総理の人格を貶める印象操作を、繰り返し連呼した。繰り返し連呼が大衆洗脳に一番効果的と知っての事だろう。党内で訓練されたのか、ここまでは他の自民党議員と同じだったが、この議員、そんな事を言っておきながら、実はこの原発事故の、基本的な事柄すら分かっていなかった。菅総理から、2号機は大爆発していない、建屋も残っていると指摘されると、場内が失笑モードに。


大恥をかいた元隊長議員はプッツン。怒り心頭になった。事実関係の確認を求められ総理に説明をしていた事務方に向かって突然、やめろ!と逆上し、「事務方は出て行けー!」と狂ったような大声を張り上げ、年配の事務方を怒鳴りつけた。ちなみに彼の所属している自民党は、大臣への耳打ち助言どころか、事務方に、大臣に代わって答弁までさせている。それも少しではない。政府側答弁の大半が事務方だ。だが彼にはそんなことは関係なかった。自分が質問する時は許せないのだ。事務方はすっかり怯え、明らかに先程より総理に非協力的になった。彼の声が轟いている間は、動かなくなってしまった。 やはり極右の元軍人(自衛隊は事実上の軍隊)は恐ろしい。恐ろしいだけではなく彼は狡猾さも併せ持っていた。「出て行け!」の前に、「総理に私の質問が届かないじゃないか!」と巧妙な言い訳をつけることも忘れていなかった。凶暴で狡猾。最悪だ。まるでドイツのあれだな。




彼の愚かさはまだ続く。彼の言に従えば、避難地域は無限に広がる。「総理が愚かなせいで避難が遅れ、○○村の人たちは被ばくしてしまった!どうしてくれるんだ!」と涙も流さんばかりにわめく。名指しされた村人達は、自分らが癌にならないか今頃戦々恐々だろう。今後村人が癌になれば皆そのせいだと思うはずだ。これでは訴訟と賠償の嵐だ。差別も心配だ。他で起きたような差別が発生しない事を祈る、などと思っていたら何のことはない。現実には政府の避難指示に対し、実はいまだに半分ぐらいしか応じていないという。総理がもっと早く避難指示を出していれば~という元隊長の能書きは、根本から間違っていたわけだ。やれやれである。


元隊長のようなマッチポンプにも踊らされない住民は、冷静であっぱれというべきだが、放射能が流れ続けている現状では、政府の指示には従うべきだろう。皆さん念のため速やかに避難を。 事態が一刻も早く収束する事を願う。千年に一度という大津波。原発も絡み、政府や関係機関は、大混乱の中、必死にこの過酷な運命と戦った。しかし、彼らは労われる事はなかった。この歴史的惨事を利用して権力を得ようとする勢力に、後出しジャンケンで細部をあげつらわれ、「こうしていればよかったのに!」と大声でののしられ続けている。こういう心無い連中の為に、政治的禁断の果実・熾烈な人格攻撃の嵐が沸き起こってしまった今の日本の国会だが、幸い菅総理が自制心を保ち、やり返していないのが救いだ。


まだ一年も経っていない政権だが、打ち出す目標は注目に値するものが多い。太陽光の高い目標、エネルギー多角化政策、送電線分離、ハーグ協定、ともに大賛成だ。浜岡停止は画期的に素晴らしい英断だった。これらは自民党にはできなかったことだ。 私は、菅総理を支持する。 崇高な議論の場である国権の最高機関・国会で、大声で人様をののしり人格攻撃を連呼し(今そんな事をしている時?この非常時に)、時には「出て行けー」と事務方を怒鳴ることまでする邪悪な連中に、国を任す事など、歴史を学んできた私には到底できない。ちなみにミズタニケンセツから多額の金をせしめていた闇将軍(とその子分たち)も、到底支持できない。昔自民党が「悪魔と組んででも」と彼と組んで政権を奪還したが、その再現はごめんこうむりたい。


時には惑わされる事もあるが、高等教育を受けてきている我々今の国民は、大人だ。戦前とは違う。 自民党も、罵詈雑言のコメンテーターや記者たちも、国民をあまり甘く見るなといいたい。


最後に、私は、宮沢さんが大好きだった。昔の自民党は、尊敬する人がたくさんいたのに、残念だ。



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