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第3話 ようこそ、ちびっ子

2011年01月24日 03:02

購入したのは、ネットで検索して、適当に選んだ、知らないペット屋さん。前回もそうだったが、自宅に届けてくれるペット屋さんを選んだ。理由は、手間が掛からず、その方が安全だからだ。ちょっと想像してみて欲しい。子犬にとって、親兄弟から引き離され、知らない人の下へ連れて行かれるのが、どれほどのストレスになるかを。運ぶのに、細心の注意が必要なはずだ。子犬にとって見ず知らずの素人が、安易に出来る作業ではない。私から言わせれば、ペット屋さんの仕事は、ブリーダーからオーナーの下へ運ぶ、運送係といってもよいぐらいだ。


だから当然、ペット屋さんには強い圧力をかけた。「健康な子ですか?」と念入りに。案の定緊張した面持ちで経営者と思われる女性が運んできた。狙い通り、非常に慎重に運んできた事が伺われた。健康を確認のうえ、その場でお金を支払い、売買契約を済ませた。ここで彼女は、すぐに重大な病気が発生したら、返品交換可能なようなことを言った。親切心からか?当社はこんなに良心的ですよと言いたいのかな?と、私は不思議に思った。そんな理由で万一返品されれば、返品された子の運命がどうなるかは容易に想像が付く。だから彼女の言っている事は、実は相当非良心的なことなのだが、その点は、やはりプロの方はさばけているのだなあと、40ぐらいと思われる小ぎれいな、にこやかな表情の彼女の顔を見て実感した。



ついでに言えば彼女は、支払いと契約終了後、引き渡す際こんな事を言った。「これでもうこのワンちゃんは、あなたの物です。煮て食おうと焼いて食べようと、あなたの自由ですよ」と。嘘ではない。彼女は本当にこう言ったのだ。あの小奇麗な、にこやかな表情で。私は、一瞬絶句後、彼女と一緒に、あはははは、と、このつまらないジョークを、大きな声を出して笑った。私は、なぜ笑ったのだろう? 彼女の言葉が、実は冗談ではなく、彼女達にとっては、あくまで商材であり、食肉用の牛や豚と同じであるという本音が感じられて、その不気味な恐ろしさにたじろぎ、打ち消したかったのかも知れない。

ひょっとしたら彼女達は、処分したワンコ達を本当に犬鍋にして食べているのかも!・・殺処分して廃棄するのは生命に対する冒涜だが、美味しく残さずきれいに食べるのは、神の摂理で当然許されるからなあ~・・・などと、次々にアホな妄想をしながら彼女の顔を見ていた事に、おそらく彼女は気が付かなかったはずだ。



彼女は満足げにお金を受け取り、帰って行った。ぽつんと残されたちびっ子の寂しげな表情が、写真から伺えるだろうか。さあ、ここからは僕の責任だ。この子を幸せにしてあげなくては・・・。



ちなみに、この子は、すぐに、次々に重い病気に襲われた。こういうブランド犬にありがちな、度を越した近親交配からくる遺伝的なリスクによるもののようだ。前の子には、そういう事態はほとんど起きなかったのに、この子は、本当に可哀想だった。嫌な言い方をすれば、「ハズレ」というのか。もちろん、返品などしなかった。彼女からは頻繁に「ワンちゃん元気ですか~」とDMが来たが、彼女に言えば引き取られそうなので、あの日以後連絡を一切取らなかった。

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彼女が帰った直後の不安げな表情。まるで、ママ行かないで!と言ってるよう。


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はじめまして、と挨拶しているところ。


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おじさんいい人?怖くない?と、こちらを観察中。


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柔らかい膝の上で優しく休ませて安心させる。私の体温と鼓動を感じさせる。




 


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