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第42話 噛み癖防止調教2

2011年04月22日 18:08

第26話の続き。前にも書いたが、ちびっ子は気が強く、非常に攻撃的な性格で、子犬特有の甘噛みも半端ではなかった。しかしある意味、こういうタイプは、調教しやすいといえる。今回は、別のタイプの話をしたい。


ちびっ子の前の子イシュは、性格が正反対だったと書いたが、おとなしいから調教し易かったかと言えばそうでもない。むしろ気が弱かったイシュの矯正の方が難しかった。気が強い犬を抑え、こちらがリーダーソップを発揮して従わせる場合と、気が弱く、恐怖心から暴走してしまう子に、自信を持たせ、さらには「人間は友だちなんだよ」と、納得させる調教をするのとでは、手段も手間も全く違う。後者の場合、何ヶ月もかけ、少しずつ慎重に事を運ぶことになる。矯正しようとする者は、まずそこを確認しなくてはならない。間違えれば最悪だ。


イシュは、あろうことか一時、元妻に、牙を向く時期があった。今から十数年前の話だ。当時流行っていた考え方で、当初てっきり、自分がママよりも上位になったと勘違いした、あるいは、なろうとしているのか、と思ったのだが、注意深く見ていると、どうもそうではない。そうは思えなかった。そもそもうちのママは、犬に上位になられるようなタマではない。ある意味命がけのスポーツといえる乗馬の障害飛越、コンマ数秒を争う競技会の出場経験豊富で、言うことを聞かない暴れ馬を、ムチと気合でねじ伏せてきた女だ。ドーベルマンごときになめられる事は絶対にない。私は、ひょっとしてこいつ、こんな大きな、凶暴そうなナリをしていて、実はとっても気が小さいのでは?と、疑った。 ・・・ やはり、そうだった。(ナサケナイ。もしかしてママが、イシュを、オラオラ!と、可愛がり過ぎた?)


そこで私は、調教方針を、大きく転換した。


例えば、何か道具を使って犬と遊んでいる時、常識では、人間が犬に勝たなくてはならない事になっているが、私は逆に、「きゃあ~~♪」と可愛らしい悲鳴を上げて、わざと負けた。タオルの引っ張りあい等で、ねばったあげく私が負けてあげるのだ。 ・・・ イシュは興奮した。やがて、庭の向こうから凄まじい勢いで私の頭上に掲げたタオルに飛び掛り、獰猛なうなり声を上げて、ぐいぐい引き寄せるようになった。本当に凄まじい迫力だ。私は甲高い声を出して煽り、イシュをさらに興奮させ、激しく力をぶつけ合い、熊にも負けないようなスーパーワンコに鍛え上げた。これを私は、「チューちゃん獰猛化作戦」と名付けた。効果はあった。いつも私にびくびくしていたイシュが、表情豊かになり、生き生きとしだした。(もちろん適時、フセ、マテ等の服従訓練を入れてある)


私は今まで、とても気の弱いワンコに、絶対的な服従を命じ、犬が恐怖を感じるような、厳格過ぎる調教をしていた事に、やっと気がついたのだ。とんだ見当違いをしていたものだ。もしあのままだったら、知らない人が近寄ってきて、いきなり犬の急所である頭を撫でるような事をしたら、イシュは、恐怖のあまり、咬んでしまっていたかもしれない。


自信を持たせてからは、そのような神経質なところは、まったく見られなくなった。そして、自信を持たせてくれた私に、イシュは愛情を感じたようだ。かえって私への忠誠心が、明らかに高まっていた。


私は、「人間は、皆とても優しくて、イシュのことが大好きなんだよ」、とイシュに思わせるために、あらゆる努力をした。例えば、道で人に会えば、知らない初対面の人にでも、積極的に声をかけ、楽しそうに会話をし、私の後ろに控えさせているイシュを紹介し、しゃがんで、イシュを優しく撫で回した。(まだ人への恐怖心がある段階では、その人達に、イシュに触る事はもちろん、イシュの目を見ることもご遠慮願った。しかしある程度矯正が成功した後は、徐々に、そして最後には、おおいに触ってもらった。持参したおやつをあげてもらったり、リードを持ってもらったりまでした)

「人と会う=パパ喜ぶ=イシュ褒められる=人好き」を目指した。


自信を取り戻す作戦と、人を好きにさせるトモダチ作戦の両方を、逆効果にならないよう、注意深く、慎重に慎重に、長い年月をかけて行った。そのおかげでイシュは、素晴らしい犬になった。親バカかも知れないが、私は自信を持ってそう言える。もちろんママに牙を剥く様な事は一切無くなった。



犬の調教はケースバイケース。その瞬間瞬間に、新しい事例が起きていると考えるべきだろう。もちろん常識的な基本は大切だ。本を読むなりして、最低限の常識を持つ事は飼い主の義務。その上で、基本だけでは対応できない、日々の様々な事態を、もし自分の調教技術で解決できれば、それほど良い事は無い。  飼い主は、調教を楽しめるといい。愛犬がひき起こしたトラブルを、苦痛と感じるのではなく、新しい知的ゲームが現れたと考えればどうだろう。原因を考え、解決法をあみ出し、そして実践。


例えそのゲームに勝てなくても、犬は可愛いし、運良く成功すれば、よっしゃー!と、無上の喜びが得られる。調教の研究は、知的な動物である馬や犬を飼う場合の、醍醐味のひとつだと私は思う。

ishu (109)
眼光鋭い猛犬イシュ

ishu (89)
猛犬イシュの仁王立ち

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「へ?猛犬イシュて私のこと?私は忠犬チューちゃんだよ」 という顔。 本当に忠犬だった・・・素晴らしい子だった・・・

最高に可愛いかったイシュに捧げるモーツァルト。イシュは、年を食った頃の写真しかないのが本当に残念だ。

私の大好きな曲。優しい気持ちになれる珠玉の一品




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コメント

  1. アイリーンママ | URL | -

    こんばんわ

    色々あったのですね…

    私もすべてを自分でしていますので、解らない事だらけでしたけれど、
    それだけにみんな良い子になってくれて嬉しいです。
    私もイシュのパパさんと同じ様に、エミリーを何処へでもおともさせました。
    どの仔も人には、とてもフレンドリーです。
    ドーベルマンってとても頭が良いから、自分が無能で恥ずかしいです(笑)
    食べ物に執着心の強い仔の噛み癖防止策ってありますか?
    また、何かの機会に書いていただけたら嬉しいです。
    どうもありがとうございました。

  2. イシュのパパ | URL | -

    Re: タイトルなし

    こんにちは!
    了解しました。
    こんどはそれで記事を書きますね。
    お楽しみに~~~

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