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第39話 作られたブレイク

2011年04月18日 12:56

私は、音楽に、音楽以外のものを持ち込まれる事が、大嫌いである。例えば、「若い女性の演奏は軽い」という見下したレッテル。もしそういう傾向が多いのなら、パーセンテージで語るべきである。逆に容姿の可愛さで過剰評価するのも嫌なものだ。ブチャイクな子でも、音楽が素晴らしければ正当に評価すべきだ。見た目の良さを追求したカラヤンのスタイルは、真剣に音楽を聴くとき目をつぶる人には、何の利益も無い。


私がもっとも嫌いなのは、音楽に偏狭な民族主義を持ち込まれることだ。スポーツなら「日本人が勝った勝った」と喜ぶのもいいだろう。私は正直それすら嫌だが。国籍や人種に関係なく、私は頑張った人を称えたい。私が日本人選手を応援するのは、大抵そちらの方が他の選手より、よく知っているからに過ぎない。F1GPの小林選手を熱心に応援しているが、私が好きなのはその仕事ぶりであって、仮に彼が中国人だとしても、私の気持ちは何ら変わらない。


クラシック音楽の評価で、どうにも我慢できないのは、やたらめったら日本人を称賛することだ。いわく「聞いた事が無いような素晴らしさ!」などと思わせる絶賛の嵐。そういう評価を信じてCDを買うと、大抵がっかりさせられる。人物ではなく、「日本人」を応援したいという気持ち。島国気質。こういう人たちは、それが良い事だと思っているのだろうか? これは、ある人の評価が140点、別の人は135点、でも140点の人は外人で135点の人は日本人だからこちらを評価しよう~、そうだそうだ日本人を応援するのが当然だ~、というのと同じである。応援しているようで、実は劣化させている事に気付けと言いたい。


元妻からメールが来た。休みを利用して、ドイツの由緒あるマンハイム宮殿・騎士の間で行なわれたフジ子・へミングさんのピアノリサイタルに行ったそうだ。写真を見て異様な感じがしないだろうか。観客のほとんどが日本人だ。元妻の話によれば、現地の人は2割ぐらいだったそうな。これも尊い愛国心の賜物だろう。どういう状態か逆にすれば分かりやすい。例えば、日本では無名だが中国では伝説的な世界の巨匠!とされている中国人奏者のコンサートが、日本の由緒ある皇室かなにかの宮殿で行われ、さすが!中国の誇り!としたとする。でも観客のほとんどが中国人だった・・・そういう状態だ。海外にまで「日本万歳」をやりに行く必要があるのだろうか? 現地の人々は、この日本人の大集団を見て、どう思ったのだろう。
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フジ子さんについて、NHKの番組から大ブームになったので、ご存知の方も多いだろう。番組を見た私もファンの一人だ。しかし、今も続くこのブームは、いささか異様と言わざるをえない。フジ子さんは別の国の国籍を取っているが、番組以来「世界を感動させた日本人!」という英雄伝説となり、「日本人の誇り」となっている。発売された「奇蹟のカンパネラ」という名のCDは、空前の売り上げを記録し、多くの日本人がその「奇蹟のように素晴らしい」という演奏の、難曲カンパネラを聞いて大感動したそうな。


ここにふたつの演奏を用意した。ひとつは私がカンパネラのベストと思うもの。偶然だが同じ日本人ハーフで、普通に日本語を話す日本の女の子(国籍はドイツ)。NHKの語学番組でお馴染みのアシスタントだった子とか。これほどの正真正銘の世界的ピアニストを、そんな事に使っていたとは驚きだ。まだ20代前半だが、非常に素晴らしい。圧倒的といえるそのエネルギーに、この難曲の魅力が完全に引き出されている。フジ子さんには申し訳ないがダイジェスト版を。聞き比べてどうだろう。まあ好き好きでしょうが。


世界一美しいピアニストと評判のAlice Sara Ott(紗良・オット)さん そんな形容詞を忘れさせる腕前


もちろんフジ子さんは名ピアニストだ。良い演奏がたくさんある。


日本のインタビューで沙良さんは、誇らしげに「私はドイツ人です」と、きっぱり言っていた。彼女は向こうではたいしたスターのようで、世界的なピアニストとして敬意を持って迎えられている。前回の朴葵姫さんもそうだが、本物の人材は、日本を選ばず欧州へ行ってしまう事が多い。非常に優秀だった私の友人のヴァイオリニストも、欧州での生活を選んだ。日本に残っている人たちをカス呼ばわりするつもりは毛頭ないが、なぜ向こうからは逆に、桁外れの巨大市場として羨望のまなざしを向けられているこの日本※なのに、こういう人材が流出するのか、あるいは選ばれないのか、ナンデモカンデモ日本万歳主義の島国根性の人たちは考えるべきだろう。外国人を見下し、「○○人は~」などと差別用語を口にする連中など論外である。ネットを見るとこういう連中があまりに多く、また主用メディアの一部にも、そういう表現が見られることに私は強い危機感を持つ。 ※ 例えば、今欧州で大人気のバンド「TOKIO HOTEL(東京ホテル)」の名前の由来は、東京に進出できるほど成功するのが目標だったからだそうな。(NHK『テレビでドイツ語』より)


・・・ そうだ、私もドイツへ行こうかな。元妻のコネもあるし、ドーベルマンがいっぱい居るし~。日本よりずっと物価が安いそうだから、60歳になれば、年金で悠々自適のドイツライフが楽しめるぞ。



いろいろな要素が重なって出来る「ブレイク」に惑わされないようにしたいものだ。今ならさしずめcan叩きブームがそれか。
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ワタチは惑わされないよ と、ちびっ子  (今回は出番ナシ)





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