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第24話 1億円対0円

2011年03月06日 05:27

私が老馬にこだわるのは、年をとったという理由だけで安易に馬を殺す風潮に憤りを覚えているせいだが、それを置いても事実老馬がお勧めだからだ。もしお金持ちの人が、心身の健康の為に、あるいは欧州の貴族や上流社会と交際する為に乗馬を習いたいのなら、目が澄んだ、人に対してとても寛容な態度を示す老馬を探す事をまずお勧めする。欧州の馬術の人気は、前話のYouTubeの動画を見れば分かると思うが、非常に高い。ステータスも大変高い。元妻は今ドイツに移住して暮らしているが、乗馬ができるおかげで、すぐに友人が出来、ドイツの生活をエンジョイしているようだ。乗馬ができるだけで、「アジアからの出稼ぎ外国人」ではなく、上流階級の賓客と見られる、は大袈裟にしても、一定レベルの階層の人と見られるらしい。彼女からは、入会したドイツの乗馬倶楽部で楽しむ、満面の笑みの写真が送信されてきた。


さて、大金を稼ぐ競馬馬ではなく、乗馬馬で一億円という値段は、日本ではあまり聞かないが、欧米では名馬には珍しくない値段だ。W杯優勝が狙えるグランプリホースともなれば、それよりもはるかに高くなるし、「○○(馬の名前)は、イギリスの国宝」、あるいは、「フランスの国宝」、「ドイツの国宝」などと言われ、国宝扱いされるので通常外国には売ってくれない。特にオリンピックで成績をあげられない国、日本などへは、「技術が未熟でせっかくの名馬もダメになる」とオーナーが嫌がり、いくら金を積んでも売ってはくれない。ちょうど欧州の名門ブリーダーが、いくらお金を積んでも良い犬は日本へ譲らないのと同じ感覚だろう。彼らは多額の資産を受け継ぐ貴族の出が多く、良い犬や馬に囲まれるのが無上の喜びで、贅沢や浪費にはあまり興味が無い。馬に必要な広大な土地を所有しており、経費も掛からない。


つまり、日本へ売られてくる馬は、それなりのブリーダーが、後腐れの無い個体を、輸出振興を願う関係機関や当局の応援を受けながら、言葉巧みに売ってきた子、となる。それでも需要と供給のバランスで、日本で売られる頃には、欧米の人たちもびっくり、という凄い値段になってしまう。日本も大量に馬を生産している国だが、乗馬用は皆無といっていい。競馬に行きそこなった馬を、乗馬用に調教しているだけだ。犬でいえば、土佐犬を盲導犬にするようなもの、というのは言い過ぎか。それぐらい難しいし、手間が掛かる。いきおい高くても輸入した方が良いという事になる。だが何せ年を食ったらさっさと「廃馬」にするお国柄だ。生涯を全うさせる例はきわめて少ない。ということは、年齢と共に値段は急激に下がる。その反動で若いと、値段は異常に高い。だから益々老馬の扱いが粗略になる、という悪循環に陥っている。


今日は元妻の写真で、そのとっても「高価な」若馬と、私の愛する老馬りゅう爺との違いをお見せしたい。勝手にモデルにするが、愛馬家の彼女なら、きっと理解してくれるだろう(でも怖いから一応顔にモザイクを入れとこ)。彼女の腕前だが、馬歴は長い。この写真は特にひどいものを選んだだけで普段はもっと上手だった。


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騎乗者の些細なミスに、「バッカヤロー!」と怒り狂う若馬

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同じ騎乗者の、はるかにひどいミスを、必死にかばう老馬りゅう爺。凄い形相だ

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怖いのか飛越中に手綱を、硬い拳で左右に強く引っ張ってしまっている。でも係員の表情は失礼だ。

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ちなみに同じ会場で、数段高い障害を、リラックスして軽々クリアするりゅう爺と私。見つめる係員の表情に注意。私の場合手綱を持つ拳が、薬指だけの軽いタッチなのが分かるだろうか。よく見ると、なんとブーツが、掃除用に使っていた滑ってとても操縦しにくいゴム長靴(エクイア)だ。思い出した。革ブーツを忘れてきたのだ。神経質な若馬なら最悪の事態になっていただろう。さすがりゅう爺

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あ~今日も失敗した~という表情の元妻と、彼女に優しい眼差しを向けるりゅう爺

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ところが何と彼女は上位入賞だった!田舎のローカル試合ではない。さすがりゅう爺!

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お疲れさんと、りゅう爺をねぎらう私と、彼の美しい目。最高に好きな写真のひとつだ。



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コメント

  1. PAM | URL | -

    コメントありがとうございました

    イシュのパパさん、
    コメントありがとうございました。
    よく分からずブログをやってしまっている状態なのに、優しい言葉を頂き感謝します。
    更新も滞っていてお恥ずかしい限りです。
    ブログ拝見させていただきました。
    犬や馬に対する愛情が溢れていて、でも感情に流されず冷静に、知識に基づいた文章で感心するばかりです。
    まだ全ては読み終えていないのですが、私も犬2匹、猫1匹に先立たれていてあの喪失感をどう表現してよいのか、未だに立ち直れないでいます。
    でも、最近あのぬくもりをもう一度、きっとあの子たちが生まれ変わって来てくれる、と思ったりしています。
    乗馬クラブでも馬が物扱いされるのを見たりして憤る毎日なのですが、何もできない自分が不甲斐なくて。
    イシュのパパさんのブログ、全部読ませていただきますね。出会えてとても嬉しいです。
    これからもよろしくお願い致します。

  2. イシュのパパ | URL | vfJUa5co

    PAMさん、こんにちは。
    コメントありがとうございます。
    最新記事の、素晴らしいチノのサクセスストーリーに感動しました。あのやせ細った姿は、りゅう爺との出会いを思い起こします。うちの爺も、あそこまでは酷く無かったですが、そうとうなものでした。何故そんな状態の馬を、と今から考えても不思議なのですが、何か縁のようなものがあったのでしょう。りゅう爺をチノ君のようなチャンピオンと一緒にするのはおこがましいですが、とてもダブってしまいました。ネットのおかげで、世界には、日本では知られていない情報や知識が、山のようにあることを知りました。PAMさんのブログは、語学力の乏しい私のような者には、非常にありがたいです。これからもどうか、よろしくお願いします。

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