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第190話 反知性主義

2015年04月20日 13:44

犬の調教で理想的なのは、犬の知性を上げる事だと思う。その逆が反知性主義。でも知性が上がった犬は飼い主をよく困らせる。困らせ方を覚えるのも知性が上がった証拠のひとつだから。先日私は愛犬チュー太郎に玄関の鍵をかけられ、家から閉め出された。ドアを勝手に開けるので目の前で鍵を閉める事が多いが、その様子を見ていて閉め方を覚えたのだろうか。ある日外へ出たがったのを、足がまた汚れるのを嫌って私だけ用事で出たら、怒ったのか「バシ」と音がして鍵をかけられた。おかげで窓から家に入る羽目になった。その他、ちょっとした隙に、うれしそうに特等席を占領するとか、困った事を幾つかしてくれるのだが、逆に、知性が上がったおかげで良くなった事も山ほどある。知性あふれる愛犬と見つめ合えば、短所の百万倍ぐらい長所が増えた事が分かるだろう。上げる方法は今まで色々書いてきたとおり。


そういう方法で10年以上べったり調教してきたのが今はなき愛馬「ロン吉」。少なくとも私に対しては、よその馬とは比較にならないほど知性的だった。私達は見つめ合うだけで心がとろけそうになった。乗馬クラブの職員の話に寄れば、私が来る時間帯と去った後ロン吉はいつも出入り口をずっと見つめていたという。試合用の馬は別に用意し、私はこの馬で10年以上激しいトレーニングを積んだ。貸与馬では自分の体の一部にならず、かといって試合用の馬では練習量が限られる。また、これが一番重要だが、一発勝負の試合では、騎手が少々ミスしても、危険を顧みず突っ込んでくれる反知性的な馬が飼い主に利益をもたらしてくれる。ロン吉は試合用の馬たちとは逆。私が少しでもミスすれば、私の安全のため、絶対に危険に向かわなかった。間歩が数cm違うだけで私の方を振り返り、「無理。やめときな」と、目で語りかけてきた。


おかげで馬術障害飛越という危険なスポーツで10年以上あれほど激しくトレーニングしてきたのに、一度もケガする事が無かった(他のアホ馬では当然あった)。反知性的な馬が競技会で飼い主に利益をもたらしてくれるのは事実だろう。乗り手がパーフェクトでなければ飛ぼうとしないロン吉のような馬は、競技会では役に立たず、おまけに「飼い主に逆らうワガママな駄馬」と言われよう。反知性主義の調教師からは間違いなくムチ打ちなどの虐待にさらされ、それでも知性的な態度をとれば屠殺されかねない。実際出会った頃のロン吉はそんな状況だった。競技会不用、平和な日々の乗馬用、と割り切り知性的な馬を求めていた私との出会いは互いに幸運だった。おかげで私は長年に渡る非常に濃密な練習と安全を得る事が出来た。そして何よりも、馬との深い愛情を交わす事が出来た。ロン吉と見つめ合う幸せ、喜びに比べれば、競技会の成績など大した事ではなかった。 (どろどろとした人間の反知性主義については、またいつか書きたい)


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見つめ合うチュー太郎と私 オスワリもフセもいらない。これだけで幸せ

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愛馬ロン吉 悲しい別れ

運動はこれ。近所の人に吼えず庭を走り回るチュー太郎



 
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