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第13話 運命の分かれ道

2011年02月16日 02:27

手術をするかどうか、判断は難しい。イシュが死んだ数年後、私の上の兄が、胃癌の手術を受けたが、イシュ同様、悲惨な結果に終わった。主治医の雰囲気が、調子の良さが、あの獣医ととてもよく似ていたので、強い不安を感じた事を、はっきり覚えている。兄は、手術後、数ヶ月で亡くなった。人としての尊厳が与えられない、苦しみぬいた、悲惨な数ヶ月だった。兄は、あの若い先生の実験材料?おもちゃ? 一番私の心をえぐったのは、兄の遺体が置かれた手術室側の静かなスペースに、軽快な音楽と、さすがに遠慮がちだが、あの医師と看護婦の楽しげな笑い声が響いていた事だ。


彼らにとっては日常茶飯事で、兄の遺体は、三枚におろした魚のような物なのだろう。あの医師は、胃全摘が終わった後になって、「リンパに転移していまして、もう・・・」と言う。耳を疑うような言葉だった。手術前の話とは全く違う。初期癌ではなかったのか。ならなぜ全摘などしたのだ。ふくよかだった兄は、あっという間に体重が激減し、意識も朦朧とした。抗癌剤投与は、非常に高度な専門知識が必要なはずだが、驚いた事に、その分野では素人同然の、外科医が処方しているという。田舎では評判の、立派で大きな病院だったが、こんな水準なのか。病院も医師も、摘出の回数が重要で、何回やったかの実績の数字が、ステータスを決めるという。兄はまさに、まな板の鯉だったのか。残された命は、彼らの為に、充分に活用されたようだ。


私の下の兄は、子供の頃、あやうく誤診?で命を落とすところだった。今から数十年前のある日、名医と評判の、近所の開業医の大先生が、兄を診察後、母に、「この子はナントカカントカという病気に間違いない。今すぐにでも手術をして、あれやらこれやら摘出しなければ、この子の命が・・・」、と告げた。気絶寸前の母に対し病院は、手術日を勝手に決め、手続きを慌しく進めた。しかし母は、気丈にも、独断で、当時としては珍しいセカンドオピニオンを実行した。そして、診察した別の病院の、ある若い医師は、「健康そのものですよ?」と母に告げる。


ある病院でこう言われました、と母が話すと、その先生は、「まさか。悪い冗談でしょ。全く健康です。手術はキャンセルし、とりあえず一週間待ってみなさい。そうすれば分かりますから」と断言した。真実はそのとおりだった。これは、私が昔、何かの時に、「あの病院は名医らしいね」と母に聞いたところ、人様の悪口などめったに言わない物静かな母が、血相を変えて私に話してくれた体験談だ。


この話には、人為的に「名医」を作るテクニックが、垣間見える。あの大先生は、宣伝の為なら、子供の体を少々切り刻む事など平気だったのかもしれない。おそらく、手術後に、「良かったですね~あと一日手術が遅れていたら、危なかったですよ~」、「先生ありがとうございます、先生は命の恩人です、ご恩は一生忘れません」などという会話が、なされていたのだろう。


2代目チューちゃんの主治医は、名医と呼ばれていた。近所のペットシュップの女子店員さんに紹介してもらった。話を聞くと、そこの元スタッフだと言う。今から思えば、なぜ辞めたの?と聞くべきだった。2代目チューちゃんの悲劇、必要な手術を躊躇、もしくはサボタージュした、最悪の結末について、後日詳しく話したい。

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イシュ最後の夏。霧の山荘周辺

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朝起こしに来るイシュ

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大きな図体で甘えるイシュ

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深い森の中を歩く妻とイシュ




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コメント

  1. Boo | URL | laRQJcpE

    医療

    実話なんですね。
    ホントにありえる話かもです。
    恐ろしくて医者もそうそう信じられないですね。

  2. はじめまして。

    イシュちゃん、愛されているんだなぁ~

    と、お写真からも、お話からも、心がホッコリいたしました。

    今は、現実は、お空に旅立たれていらっしゃることが、切ないですね。

    でも、愛されてイシュちゃんは、お幸せだなぁ~と、感じました。

    私も、家族の愛犬と、最後の時間まで、大切に大切に一緒に過ごしたいと強く受け止めました。

  3. Takujuun | URL | -

    Re: 医療

    > 実話なんですね。
    > ホントにありえる話かもです。
    > 恐ろしくて医者もそうそう信じられないですね。

    コメントありがとうございます。実は私は、非常に素晴らしい名医に、命を救われた経験があるのです。第14話に詳しく書きましたので、ぜひご覧ください。

  4. Takujuun | URL | -

    Re: タイトルなし

    > はじめまして。
    >
    > イシュちゃん、愛されているんだなぁ~
    >
    > と、お写真からも、お話からも、心がホッコリいたしました。
    >
    > 今は、現実は、お空に旅立たれていらっしゃることが、切ないですね。
    >
    > でも、愛されてイシュちゃんは、お幸せだなぁ~と、感じました。
    >
    > 私も、家族の愛犬と、最後の時間まで、大切に大切に一緒に過ごしたいと強く受け止めました。


    はじめまして。コメントありがとうございます。そうなんです。このブログを書くようになって、ますます切なくなってきてしまいました。号泣することもあります。でも、思い出して、楽しいときもあります。またぜひ遊びに来て下さい。

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