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第11話 老犬の格

2011年02月10日 06:53

家族犬は、年齢を重ねるほど価値が出る。飼い主との絆が、年齢を重ねるほど深まるからだ。また、犬も当然、経験によって学習する。1歳と10歳では、経験が10倍も違う。さらに、それらの積み重ねとして、年老いた犬には(ただし人間との充実した信頼関係を積み重ねてきた犬に限られるが)、何ともいえない温和で威厳のある、品格が備わってくる。これらは、そこまでの努力を積み重ねてきた者たちに対する、特別に認められたご褒美、といえよう。可愛いだけの子犬とは、レベルが違うのだ。


1才以下の子犬は論外として、2~3才の若犬でも、このような格式を求めるのは、無理がある。最低でも4歳から上だろう。調教で云々できる類のものではない。



残念なことに、妻が大の写真嫌いだった為に、イシュの写真はあまり残っていない。若い頃の写真はほとんど無い。最後の年の数ヶ月間に撮った写真が、いくらか豊富にあるだけだ。イシュが亡くなったのは11歳。チューちゃんは6歳(うん?5歳半ぐらいか)。病に苦しんだ子だったので、晩年は、年のわりには随分老けた感じだったが、あらためて写真を見比べてみると、イシュに比べ、チューちゃんは若いなあ、とつくづく思う。11歳と6歳とでは、やはり全然違う。もっともっと、駆け回りたい!、やんちゃしたい!、そう思っていただろうに、可哀想だった・・・。


チューちゃんの調教は、イシュと正反対にした。イシュは厳格に。チューちゃんは甘やかし放題の猫可愛がりに。



イシュは、乳腺腫瘍除去手術の後が悪化し、除去した所の内部から腫瘍が膨張。せっかく、くっ付いていた手術の後の縫い目が、内部から徐々に裂けるという最悪の事態となった。これについては後日また詳しく述べたい。 ・・・ いくら犬でも、おそらく地獄のような痛みだったはずだ。私は、ただ祈るのみだった・・・。

その反動で、チューちゃんの躾は甘くなった。いや、むしろ、やんちゃに飛び回るその元気さが、うれしかった。もっともっと元気で暴れて欲しいぐらいだった。まあそれでも、私も未熟な人間。虫の居所が悪くて、何回かひどい癇癪を起こした事はあった。しかし、ほんの数回だ。2回?3回?チューちゃんの生きていた6年足らずの間に、たったそれだけだ。言うまでもなく、殴る蹴るはゼロだった。ちなみに、犬に対する、いわゆる恐怖効果は、体罰よりも、乗馬用の鞭で、大きな音が出るテーブル等を叩いた方が、効果が大きい。(ただし頻繁にやると、慣れて効果が半減する)

気性は、チュータ(=ちびっ子=チューちゃん)の方が、はるかに激しかった。イシュとは比較にならないほど攻撃的で凶暴。すぐに牙をむき、けたたましく吼えた。典型的な、親兄弟から引き離されるのが早過ぎた子犬の症状だ。気質も、イシュが苦手だった雷、花火、暴走族の爆音、すべて平気だったから、度胸がある方だった。私が「ガロガロガオ~」と威嚇しても、いつもケロっとしていた。




しかし、なにせこちらは、11年間もドーベルマンを厳格に調教してきた男だ。その経験を生かせば、ちびっ子など猫の手をひねるように簡単。調教は思い通りに進んだ。基本はこうだ。 ~ 「チューちゃん可愛い!」

次回から、具体的な手口と体験を記したい。おっと、「コメント」にお答えしよう。「どちらの態度がいいか」・・・義務 対 傾向性、 自律的 対 他律的、 定言的 対 仮言的 ・・・これは、イマヌエル・カントを問いつめるような、とても難しい哲学的な質問だ。この難問に責任あるお答えをするには、しばらく時間をいただきたい。

「ゲージに入らない時どうすれば?」 これは簡単。音楽のリズムを使って自分を冷静に保ち、かつ楽しい雰囲気を作り、「ハウス♪ハウス♪」と、抱きかかえるようにゲージにしまい、ゲージに入ったら、「チューちゃん可愛い!おりこうだね!」と褒める。おやつをあげてもいい。そのうち「ハウス」と言うだけで、喜んでゲージに入るようになる。若い活発な時期に長時間入れっぱなしにしたり、ゲージを懲罰の牢屋代わりに使ったりしていると、ゲージを嫌がるようになる。怒鳴って入れても同じ。

私は逆にゲージを、彼らがくつろげる安全地帯にした。連中が何かイタズラをして私が癇癪をおこすと、イシュもチュータも、素早くゲージに逃げ込み、「へへへ」という顔をした。ドーベルマンは本当に賢い。だが私は彼らのはるか上を行っていた。ある日、細工をして、ゲージを、底を残して、残る全てを簡単に取り外せるようにした。そして、ちびっ子がまたイタズラをしてゲージに逃げ込むと、私が「ふふふ♪」と笑って、ゲージを取り外した。すると、「へへへ」と余裕の顔をしていたチュータの顔が一変。目を白黒してこの異変に驚愕し、チュータは、私の全能ぶりに平伏した。(実話)

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威厳みなぎるイシュ

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ゲージの出入り自由。名犬イシュの憩いの部屋。

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一方 ・・・ 早く出せ!と朝の雄たけび。やんちゃ坊主

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このヘタクソ!とバイオリン弾きの足を噛む ちびっ子ギャング!



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コメント

  1. wonwon | URL | tYvW6C8E

    なるほど、納得です。

    コメントにお答え頂きありがとうございます。

    そもそもケージを憩いの場として認識させることが先決なのですね。

    私はこれまで躾に対して、力ずくで強引に従わせるというイメージだった
    ことに気づきました。犬の視線に立って考えるが姿勢が大切なのですね。

    今回の老犬の話もそうですが、私のように初めて犬を飼うものにとって、
    ここでの話はとても参考になります。どれも犬と人間との関係について、
    考えさせられる内容で思わす引き込まれてしまいます。

    この続き、楽しみにしています。
    ありがとうございました。

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