FC2ブログ

第2話 天使登場

2011年01月22日 03:42

あれは良く晴れた暖かい3月のある日だった。


ネットで予約注文し、それは、忘れた頃に届けられた。


前の子が非業の死を遂げ、打ちひしがれ、後悔と懺悔にもがき苦しむ中、藁をもつかむ気持ちで新しい子を求めた。犬には簡単にそれが出来る。人間の子と違い、お金さえ出せば。


私はそう勘違いして、安易に求めた。それ以外は、つまり責任と苦労と愛は、ほとんどそれと変わらない事を意識できないままに。人間よりも、はるかに寿命が短い事も忘れ。いや、次また新しい子を買えばいいと思っていたのかもしれない。


1対1で過ごすと、犬は驚くほど深く心に入り込んでくる。ドーベルマンのような優れた犬種なら尚更だ。人間の家族が居ると、どうしても犬は一段下の関係になる。人間ではないのだから当然だ。昔近所の独居老人が、亡くなった愛犬を振り返り、「ダンナが死んだ時より辛かった」と語るのを聞いて、なんて人だ!よほど夫婦仲が悪かったのか?と思ったものだが、今はその気持ちが分かる。1対1で過ごす犬とは、それほどの存在になってしまうのだ。動物の命の重み。命の尊さ。次また新しい子を買えばいいと言える様な軽いものではない。終末期の彼らの表情、苦痛に耐え、死に怯え、「パパ助けて」と、救いを求めるあの目が、あのかぼそい声が、今も私の脳裏から離れない。


話を戻そう。納入日は妻の誕生日に合わせた。私同様打ちひしがれているであろう妻を、このサプライズで少しでも慰めるつもりだった。しかしその前に離婚してしまったので、その計画は徒労に終わった。突然の別れの通告に、私は動揺した。夫婦水入らずの温泉旅行などをひそかに計画していた能天気さに、思わずふふと自嘲したものだ。子供同然の愛犬の死と、不景気の煽りを受け、資金繰りに苦しんでいた自分に、とどめを挿されたような、そんな気がしたものだが、彼女を責める気持ちにはなれなかった。虚栄心か、それとも生る気力が失われていたのか。彼女の荷物が運び出され、がらんとした家に、ひとりぽつんとたたずみ、無気力に、ただ息をしているだけ、そんな日々が続いていた時、ある日突然、天使がやってきた。そう、妻の誕生日プレゼントに用意していた、あのドーベルマンの子犬だ。 どん底だった私の心は一変した。

SA310237_convert_20110122032926.jpg







  

第1話 プロローグ

2011年01月20日 04:18

前までの犬と違って今回は、最初から最後まで私と愛犬の二人きりだったので、かなりこたえました。私のような孤独な独身者にとって愛犬の死は、精神的に想像以上の負担になるようです。だから友人知人が早く次の犬を、と勧めてくれても、寂しいから新しい犬と、安易に考えない方がいい、そう思っていまだに何も飼っていません。・・・本当につらかった。でも、付きっ切りの介護で、最期まで看取ってあげられたので、良かったと思っています。万一こっちが先に逝ったら悲惨ですしね。



前の子ももちろん深く愛していました。同じ犬種でドーベルマンです。当時は妻がいましたが、子供はいなかったので、溺愛していました。家で仕事をすることが多く、一緒にいる時間が長かったので、尚更でした。犬も基本的に濃密な関係を喜ぶ動物なので、注いだ愛情によく答えてくれました。

凛々しい「前の子」イシュちゃん
凛々しい「前の子」イシュちゃん


妻の希望でドーベルマンを初めて購入しました。購入前はドーベルマンの事をよく知らず、凶暴な犬だと誤解していました。もちろんすぐに、その魅力にとりつかれました。やはりドーベルマンは別格だと思います。非常に頭が良いうえに、性格が理想的というべきで、飼い主に捧げてくれるその愛情は、並外れて優れています。初めてドーベルマンを購入して以来20年近くたちましたが、彼らのおかげで、他では得がたい素晴らしい愛に恵まれ、幸せでした。彼らには本当に感謝しています。

二人でにっこり
二人でにっこり


この子は、11歳で亡くなりました。子供を亡くした親から「犬と一緒にするな」と叱られるかもしれませんが、子供がいない私にとっては溺愛する対象で、しかも子供同然+最良のパートナーだったので、おそらく11歳の子供を亡くしたのと同じぐらいの悲しみだったと思います。こういう深い悲しみが、犬を飼う最大のリスクですね。犬が優秀であればあるほど危険です。10年ごとに子供を亡くすような悲しみに、人は耐えられるでしょうか?この子が亡くなった4ヵ月後に、新しいドーベルマンの子犬を向かえ、悲しみが癒されましたが、その子をも亡くした今、あまりの悲しさに、あの時本当に買って良かったのだろうかと、考えます。特に、孤独な独身者には、リスクが大き過ぎると思う・・・。 逆に言えば、それぐらい得られるものも大きいといえますが。




そういえば、もうすぐ子犬が生まれる季節だなあ~・・・。万一ショップやブリーダーの所へ行けば、ドーベルマンの子犬を見て触った瞬間、買ってしまう、しかし10年後にあの悲しみがまた・・・。10年後の自分の年齢を考えると、絶対にやめるべき。冷静に考えよう。でも、僕の頭から足の指先まで、体中がドーベルマンを求めている、うううううん、いや、これって一種の麻薬?やはり絶つべきだ。それに、あんなに僕に尽くしてくれたあの子を、もう忘れるなんて酷いじゃないか。でも年齢的にラストチャンスだよ。これ以上歳を取ったら責任上もうドーベルマンは無理だ、いやいや、次の「悲しみ」に耐えられるのか?・・・やはり、孤独な独身者である以上、絶つべきだ、・・・と思う。



さあ、可愛い「ちびっ子」(2代目ドーベルマンの愛称。名前はチューちゃん)の思い出にふけり、悲しみを癒やそう。心の中でチューちゃんを飼えばいいじゃないか。供養にもなるし。ブログに思い出をどんどんアップしていこう!




(最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ブログとかに不慣れなので、見苦しい点等あれば、ご容赦ください。ご指摘いただければ幸いです。時間が足りずなかなか返信できませんが、コメントは大変ありがたいです)